ステッピービート

リズムに乗って試練を乗り越えろ！

この世に過酷な試練は数あれど、ウィドゥム族の成人の儀ほど苛烈を極めた試練は他に無いだろう。洗礼を受ける者は、祭司の刻むビートにノりながら、1000ウィートル──現代における170mほどに相当する──先にある旗に辿り着かなくてはならない。道中には極めて凶悪な拍子怪物（リズミカルモンスター）がひしめいており、並の舞闘家（ビートファイター）では無残に屍を晒すだけである。しかし、この成人の儀が本当に恐ろしいのはここからだ。ウィドゥム族に伝わる秘術によって、洗礼を受ける者の心臓の鼓動は祭司のビートと深く結びつくのである。そして祭司がビートを刻む時間は26,460ウィル──現代における10分に相当する──と定められている。この刻限を過ぎた者は、容赦無く死を迎える。道中にはかつて試練に破れ、死した若者たちの心臓が転がっており、この世に未練を遺すかのように鼓動を続けているという。ウィドゥム族の成人を目指す者は、怪物を屠る勇気と金貨を拾うが如き運を胸に宿し、数多の屍を乗り越えて成人になるのだ。