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ビル植え
「効率よくビルを植えて、土地を空けて、ビルを植えて、立派な不動産になってね!」 202X年、かつて隆盛を極めた巨大都市ネオ・トーキョーは今や斜陽にあった。 大地は腐敗し、人が住むこともままらない。見渡せば至るところに「お前の方が雑草だ」と言わんばかりに咲き誇るネギ、ウシ、缶。いつかの巨大都市は混沌によって支配されていた。 しかし一箇所だけ腐敗を免れた土地があった。「旧エキチカの凹地」と呼ばれるその土地は、金銀銅で固められており、辛うじて健康を保っていた。「エキチカ」の響きにつられ、そこには多くの不動産が訪れる。 そしてどこからか声を聞く。 「左クリックでビルを植えてね!」 建築基準法を超越したその存在は、不動産に力を授ける。ビルを植え、自在に爆破解体する力。それはこの腐りきった大地で不動産ビジネスをするには、なくてはならない力だった。 だがどうせ最後は更地に帰る。いくら健康といえども、所詮はネオ・トーキョーの土地。ビルの寿命はもって15秒。 「やっぱ無理があるわこれ」とほとんどの不動産がフドフドと帰る中、1人だけが残っていた。その者はただダイナミックストレッチで身体を温め、田植えの素振りをしている。ビジネスか、あるいは刹那の復興を夢見てか。 「立派な不動産になってね!」 別にそんな声は全然聞いていない不動産が今、動き出す。
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アブクデ
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